「せなは本当に賢い子ね」



「それに比べてりなは…」



双子の姉のせなは、運動も勉強も何でもできる優等生だ。



おまけに顔が可愛くてスタイルも良くて…。



すれ違うたびみんなが振り向く。



恋だって、私が好きになった人はみんなせなを好きになる。



私は、せなにはなれないんだ。



「はぁ、いつになったら二位になれるのかしら」



お母さんは、いつだってせなが一番であってほしいから、私は二位になれと言われる。



せなはテストでいつも学年一位。



それに比べて、私は三十位。



一桁にも入れていない。



「双子なのにな」



「本当、りなにはうんざりだわ」



お父さんもお母さんも、私のことで頭を抱える日々。



「それにしても、せなは毎回一位なんて、流石私たちの子ね!」



「せなにはご褒美をあげなくちゃな!どこか行きたいとこあるか?お父さんが連れてってあげよう」



「いいの?うーん、じゃあ、遊園地行きたい!」



「遊園地な。今度の日曜日でいいか?」



「うん!お父さんありがとう!」



「よっし、決まりだな。せなは礼儀正しくていい子だなぁ」



お父さんは、せなの頭を撫でた。



お母さんも、その様子を微笑ましそうに見ている。



私はその場に立ち尽くすことしかできなかった。