親愛なる魔王様へ〜The Encounter〜

ルーチェはその場で膝をつき、肩で大きく息をする。ビオラは驚いた顔でルーチェを見つめていた。

「ルーチェ……」

その時である。ルーチェとビオラの前に、また得体の知れない生き物が姿を見せた。

『お初にお目にかかります。僕の名はイズナ。呪具の化身です。先ほどは試練のため、モンスターを操ってしまい申し訳ありませんでした』

「呪具の化身?……ということはルーチェは!」

ビオラの顔は青ざめ、イズナに対し何かを言っている。しかし、ルーチェはその場に倒れ込み意識を失ってしまったため、その言葉を最後まで聞くことはできなかった。



ルーチェが目を覚ました時、自室のベッドに寝かされていた。そしてベッドの周りには、暗い顔をしたエレナと目を赤く腫れ上がらせたビオラ、そして思い詰めたような表情のルカがいた。

(みんなどうしたんだろう……)

ルーチェの中に不安が込み上げてくる。何故、みんな暗い顔をしているのか。ルーチェはベッドから起き上がった。