「ルーチェ!!こっちにおいで!!」

ビオラが魔法を放ちながら言う。魔法はその存在に確かに当たっているのだが、その存在はびくともしない。黒い触手が天井に向かって伸び、勢いよく振り下ろされる。

「うわッ!!」

ルーチェとビオラは触手を避けたものの、次々と振り下ろされていく。そして、ビオラの足に触手が絡み付いた。

「うわぁぁぁぁ!!」

ビオラは悲鳴を上げ、魔法を放っていく。しかし、その存在は変わらず立ち尽くしている。ルーチェは拳を震わせながら、何とかしなくてはと辺りを見回す。その時だった。

『強くなりたいですか?』

また声が響いた。ルーチェは迷うことなく頷く。

「うん。強くなりたい。兄さんを助けなきゃ!」

『合格です。力を貸しましょう』

刹那、体の奥底から力が湧き上がるのを感じる。ルーチェは杖を握り締め、魔法を唱えた。杖から放たれた魔法は異質な存在を貫く。そして、その存在は塵となって消えてしまった。