「ルーチェ。この子の名前、ルーチェというのはどうかな?」

ルカは赤ちゃんにそっと指を伸ばす。伸ばされた手を赤ちゃんは声を上げながら握った。その様子を見ながらエレナも頷く。

「ルーチェ。いい名前ね」

「お母さん。僕、ルーチェ抱っこしたい!」

ビオラがエレナに強請る。エレナは少し考えた後、ビオラにルーチェを抱っこさせることにした。

「ここをしっかり持ってあげて。そうそう。上手よ」

「ビオラ、ルーチェを抱っこできてよかったな。次はお父さんに代わってくれ」

ルカとエレナが見守る中、ビオラはルーチェを抱っこした。ルーチェにニコリと笑いかけ、ビオラは言った。

「こんばんは、ルーチェ。お兄ちゃんだよ。僕が君を守るからね」

ルーチェは笑い声を上げ、ビオラに手を伸ばした。



ルーチェは順調に成長していき、七歳になった。そんな彼は今、ビオラと共にジュゼッペが講師を務める魔法史の授業をサボっているところだ。

「ビオラ様〜!ルーチェ様〜!どちらにいらっしゃいますか〜?」

大慌てで探すジュゼッペの声を聞き、ルーチェとビオラは顔を見合わせて笑う。

「ジュゼッペの授業って、堅苦しくてあんまり面白くないんだよね〜」

「兄さん、今日だけはサボっちゃおう!」