「ッ!」

まるで式典の際に演奏されるラッパのような力強い産声に、ルカの瞳が潤んでいく。刹那、部屋のドアが勢いよく開いた。ドアを開けたのは、この屋敷に古くから仕えている執事のジュゼッペ・カプリである。

「ルカ様!!お子様が生まれました!!」

「わかっている!!」

「僕の弟か妹が生まれたんだ!!」

ルカはビオラを抱っこしたまま走り出す。二階の一室のドアを開けると、ベッドの上でエレナが生まれたばかりの子どもを幸せそうに抱っこしていた。エレナはルカとビオラに気付くと笑いかける。

「ルカ、可愛い男の子よ。ビオラ、この子があなたの弟よ。あなたはお兄ちゃんになったのよ」

ルカとビオラにエレナが生まれた赤ちゃんを見せる。その顔を見た刹那、ルカの瞳から堪えていた涙が溢れた。

「エレナ、ありがとう。可愛い子どもがもう一人増えて、僕は世界一の幸せ者だよ」

「赤ちゃんより泣いてどうするの」

エレナがフフッと笑う。その腕の中で、生まれたばかりの子どももフニャリと笑った。その顔を見てルカの頭にスッと名前が浮かぶ。