「仲が昔から悪かったから、家族や兄弟という関係とは思えないけどね」

ルカの話を聞いたクロードとクラルは顔を見合わせ、大きく頷く。

「では、ルカ殿の兄君に話を聞けばいいんだね」

「今すぐにでも行こう」

背を向けて立ち去ろうとするクロードとクラルに対し、ルカが「待ってくれ。僕も行く」と呼び止めた。その目には怒りがある。

「大切な息子の名前を勝手に使われたんだ。僕もあいつに文句を言いたい」

「私も行くわ。一発殴らないと気が済まない」

「僕も行くよ!ルーチェは僕の弟だ!」

エレナとビオラが手を挙げ、ルーチェも「僕も行く!」と声を上げる。クロードの兄など存在すら知らなかったものの、心の内側には怒りがあった。

「では、みんなで行こう」

クロードがそう言い、ルーチェたちは歩き出す。しばらく歩くと、ルーチェの隣にクラルが並んだ。クラルは申し訳なさそうな目でルーチェを見つめる。

「ルーチェ、疑ってごめんね。嫌な思いをさせたね」