クラルの言葉にルーチェは目を見開く。クラルはビオラを警戒したまま言った。

「君たちも偽名を使ってるよね?本当の苗字はガーデンじゃなくてクロウディア。そして君はーーー」

「待ってくれ。その先は僕から説明させてほしい」

ルカの声が響く。いつの間にか、この場にルカとエレナも立っていた。空気がまたしても緊張に包まれる。クラルとクロードは二人を警戒している様子だった。

「大魔王・ルカ……」

クロードの発した言葉に、ルカは「大魔王の座を誰かに譲ったわけではないけど、今はただの一人の男だ。その呼び方はやめてほしい」と寂しそうに言う。そして、ルカはルーチェの方を向いた。

「ルーチェ、お前にはずっと黙っていたことがある」

『我々の存在のことですね』

八咫烏とイズナがどこからか姿を見せた。ルカは大きく頷き、話し出した。

クロウディア家にはある風習がある。それは、強い呪い耐性を持った子どもは捨てなければならないというものだ。八咫烏とイズナは呪具の化身。そして、ルーチェは強い呪い耐性を持っていることが七歳のあの日に判明した。