会場の皆が美味しいご馳走に舌鼓を打ち始めたが、杏はいろいろな事が重なり頭の中が整理できず、その場で立ち尽くしていた。
すると杏の所へ白様のお婆様が近づいて来た。
「あなたが杏ね、皆にも言ったけれどあなたには感謝しているのよ。それに白のお嫁さんになってくれたと聞いてとても嬉しく思っているわ。」
お婆様は杏の両手をそっと握って微笑んでくれた。
「あの…伺っても…よろしいでしょうか…。」
杏はおどおどとしながらお婆様に声を掛けた。
お婆様は杏に向かって大きく頷いてくれる。
「私が尊き者の子孫ということは…本当なのでしょうか…。」
お婆様は杏の頭に優しく手を置いて微笑んだ。
「それは本当よ。あなたが尊き者の子孫でなければこのような奇跡は起こりません。歌にも力がありますが尊き者の血を引き継ぐ者だけが、大きな力を発揮できるの。だから私の病も良くなったのよ。」
杏はその話を聞くと、もう一度大きな瞳からぽろぽろと涙を頬へつたわせた。
「あらあら、また杏を泣かせてしまったわ。」
お婆様は少し離れたところに居る吉乃を見つけた。
「あなたは吉乃だったかしら…同じ人間の花嫁同士、杏と仲良くしてあげてね。」
お婆様は吉乃を近くに呼ぶと、ひらひらと手を振って笑顔を見せた。



