③ 第二部 ― 囁きの連鎖
沙耶の失踪から一週間。
相沢のもとには、次々と奇妙な証言が集まってきた。
「真夜中に電話が鳴ったんです。出たら……“ゆるして”って」
「記事を読んでから、壁の模様が血みたいに見えて……声がやまないんです」
読者たちは口を揃えて同じことを訴えた。
囁きは人を選ばない。誰にでも忍び寄り、心を侵食する。
やがて被害は形を変え始めた。
沙耶の友人・篠田麻衣が下宿先で錯乱し、自分の爪で壁に文字を刻みつけているのが発見されたのだ。
そこには赤黒い線が幾重にも重なり、読めないはずの文字が浮かび上がっていた。
「ほんとうのはんにんは」
麻衣は泣きながら叫んだ。
「続きが聞こえるの! でも言っちゃいけないって、声が……!」
相沢は彼女を止めることしかできなかった。
さらに追い打ちをかけるように、囁きを聞いた別の学生が校舎の屋上から身を投げた。
ポケットの中には紙切れがあり、赤い染みで震える文字が記されていた。
「つぎは おまえだ」
相沢は凍りついた。
囁きはただの幻聴ではない。聞いた者を追い詰め、死へと導いている。
その夜、相沢自身の部屋の電話が鳴った。
震える手で受話器を取ると、幼い声が耳を刺した。
「しんじて」
次の瞬間、部屋の壁に赤黒い染みが浮かび、血文字がにじむように広がった。
「こたえは すぐそこ」
相沢は後ずさり、言葉を失った。
まるで“血文字そのもの”が意志を持ち、彼に何かを告げようとしているかのようだった。
――だが、その声に導かれてよいのか。
それとも、声こそが新たな罠なのか。
囁きは止まらない。
犠牲者が増えるたびに、その声はより鮮明に、より多くの者へと広がっていくのだった。
沙耶の失踪から一週間。
相沢のもとには、次々と奇妙な証言が集まってきた。
「真夜中に電話が鳴ったんです。出たら……“ゆるして”って」
「記事を読んでから、壁の模様が血みたいに見えて……声がやまないんです」
読者たちは口を揃えて同じことを訴えた。
囁きは人を選ばない。誰にでも忍び寄り、心を侵食する。
やがて被害は形を変え始めた。
沙耶の友人・篠田麻衣が下宿先で錯乱し、自分の爪で壁に文字を刻みつけているのが発見されたのだ。
そこには赤黒い線が幾重にも重なり、読めないはずの文字が浮かび上がっていた。
「ほんとうのはんにんは」
麻衣は泣きながら叫んだ。
「続きが聞こえるの! でも言っちゃいけないって、声が……!」
相沢は彼女を止めることしかできなかった。
さらに追い打ちをかけるように、囁きを聞いた別の学生が校舎の屋上から身を投げた。
ポケットの中には紙切れがあり、赤い染みで震える文字が記されていた。
「つぎは おまえだ」
相沢は凍りついた。
囁きはただの幻聴ではない。聞いた者を追い詰め、死へと導いている。
その夜、相沢自身の部屋の電話が鳴った。
震える手で受話器を取ると、幼い声が耳を刺した。
「しんじて」
次の瞬間、部屋の壁に赤黒い染みが浮かび、血文字がにじむように広がった。
「こたえは すぐそこ」
相沢は後ずさり、言葉を失った。
まるで“血文字そのもの”が意志を持ち、彼に何かを告げようとしているかのようだった。
――だが、その声に導かれてよいのか。
それとも、声こそが新たな罠なのか。
囁きは止まらない。
犠牲者が増えるたびに、その声はより鮮明に、より多くの者へと広がっていくのだった。

