僕の愛しい泥棒娘

時々院長とユミアは請われて地方の孤児院に
視察を兼ねた相談の為に出掛けている。

王都の孤児院のラベンダー畑は今では観光名
所としても有名だ。

ユミアの成功物語で職業婦人の聖地でもある
らしい。

有名になった作家が無料でユミアの成功物語
とアウスレッドとの身分を超えた恋を書いて
孤児院に印税をすべて寄付したのだ。

その本は孤児院でしか売っていないのだ。

ものすごい人気になってその本を求めて、孤
児院の売店では対応に大わらわしたと言うの
も今では笑い草になっているが、今でも月に
10冊は売れているらしい。

孤児院の売店ではラベンダーのポプリやドラ
イフラワー、子供達が作ったとは思えないよ
うなラベンダーの刺繍がされたハンカチや布
バックそしてユミアのレシピと呼ばれるフラ
イドポテトやフライドサツマイモにクッキー
も売っている。

ショップのスタッフやクッキーやフライドポ
テトなどを作るのに貧民街の女性たちが、雇
われて働いている。

ユミアの成し遂げたことは本当に国を挙げて
感謝をされるべきことなのだ。でもそんな話
が出るたびにユミアは頑として受け入れ
ないのだ。

理由はアウスレッドには分かっているのだが
自分は元をただせば泥棒なんだからと言う事
なのだ。

ユミアのしていた事は傲慢で脱税など後ろ暗
い所のある貴族から徴収して困っている人達
のために役に立てているのだから泥棒ではな
いと、言っても“盗んだ物で始めたのが“シャ
ウルー”なんだから、自分の欲の為に盗んだ
から泥棒なのよ。その結果たまたまワイナリ
ー家の陰謀を潰せたとしてもそれは副産物に
他ならないのよ“と言って譲らないのだ。本
当に頑固なユミアなのだ。