○美優のアパート 朝

美優、鏡の前で身だしなみを整えている。紺色のスーツ(就活用)を着て、髪もきちんとまとめている。緊張で少し手が震えている。

美優:「大丈夫、きっと大丈夫……」

健人が朝食を食べながら。

健人:「姉ちゃん、今日から?」

美優:「うん。神崎グループでインターンシップ」

健人:「頑張って! 姉ちゃんなら絶対大丈夫だよ」

美優、健人の言葉に励まされる。

美優:「ありがとう。いってきます」



○神崎グループビル エントランス 朝8時半

美優、深呼吸をしてからビルに入る。以前来た時とは違い、今日は「働く」ために来たという実感がある。

受付で。

美優:「おはようございます。本日からインターンシップでお世話になります、横井美優です」

受付嬢B(親切な口調で):「おはようございます。お待ちしておりました。田中秘書がお迎えに参ります」

前回とは違う受付嬢で、美優に丁寧に対応してくれる。



田中秘書が現れる。

田中:「横井さん、おはようございます。今日からよろしくお願いします」

美優:「こちらこそ、よろしくお願いします」

エレベーターで上階へ。

田中:「国際事業部は15階です。とても活気のある部署で、きっと良い経験になりますよ」

美優:「ありがとうございます。頑張ります」

田中:「最初は緊張すると思いますが、皆さん優しい方ばかりです。何かあれば私に声をかけてくださいね」

美優、田中の優しさに安心する。


○神崎グループビル 15階 国際事業部 朝9時

広いオープンフロア。複数の国の言語が飛び交い、国際的な雰囲気。社員たちが忙しそうに働いている。

部長・山田(50代)が美優を迎える。

山田部長:「横井さんですね。国際事業部の山田です」

美優:「横井美優です。よろしくお願いします」

深々とお辞儀する美優。

山田部長:「専務から話は伺っています。期待していますよ」

美優、責任の重さを感じる。


山田部長:「他のインターン生を紹介しますね」

佐藤(22・男性):「東京大学経済学部の佐藤です。よろしく」

田村(21・女性):「慶応大学商学部の田村です。お互い頑張りましょう」

美優、二人の出身大学を聞いて少しプレッシャーを感じる。

美優:「丸の内大学経済学部の横井です。よろしくお願いします」

佐藤:「丸の内大学? ああ、知ってます。良い大学ですよね」

田村:「私たち、同じ年なんですね。仲良くしましょう」

美優、二人の親しみやすさにホッとする。


指導役・鈴木係長(30代女性)が美優たちに説明。

鈴木係長:「まずは基本的な業務から始めてもらいます。資料作成、データ整理、会議の準備など」

資料の束を渡される。

鈴木係長:「今日はこちらの貿易統計をExcelでまとめてください。質問があればいつでもどうぞ」

美優、真剣に資料を見る。

モノローグ(美優):「思ったより難しそう……でも、絶対にやり遂げる」


○神崎グループビル 社員食堂 昼

美優、佐藤、田村が一緒に昼食。社員食堂は広くて料理も豊富。

田村:「美優ちゃん、午前中お疲れさま。慣れた?」

美優:「まだ緊張してます。でも、皆さん親切で……」

佐藤:「最初はそんなもんだよ。僕も昨日は緊張で全然眠れなかった」

田村:「そうそう。でも美優ちゃん、資料整理すごく丁寧で感心したよ」

美優、褒められて嬉しそう。

美優:「ありがとうございます。お二人の方がずっと優秀だと思います」

佐藤:「そんなことないよ。お互い頑張ろう」


食堂の入り口付近で、蓮が美優たちの様子をそっと見ている。

モノローグ(蓮):「うまくやっているようだな。安心した」

田中秘書が近づく。

田中:「横井さん、とても真面目に取り組んでいらっしゃいますね」

蓮:「そうですね。でも、無理をしないか心配です」

田中:「お声をかけられますか?」

蓮:「いえ、今日は様子を見るだけにします。彼女の頑張りを見守りましょう」

蓮、美優を見つめる優しい眼差し。


○国際事業部 午後

美優、午前中よりも複雑な業務に挑戦。英語の資料の翻訳作業。

モノローグ(美優):「英語は得意だけど、専門用語が多い……」

辞書やネットで調べながら、丁寧に翻訳を進める。

鈴木係長:「横井さん、進み具合はいかがですか?」

美優:「はい、なんとか……でも、この用語の意味がよくわからなくて」

鈴木係長:「ああ、これはよく使われる貿易用語ですね。最初は難しいですが、慣れれば大丈夫」

丁寧に説明してくれる鈴木係長。

美優:「ありがとうございます。勉強になります」



美優がデータ入力をしていると、画面がエラー表示。

美優:「あ……」

慌てる美優。近くにいた佐藤が気づく。

佐藤:「どうした?」

美優:「データが消えちゃったみたいで……2時間分の作業が……」

美優、青ざめる。佐藤がパソコンを見る。

佐藤:「大丈夫、自動保存されてる。ここから復旧できるよ」

美優:「本当ですか? よかった……」

安堵の表情。

佐藤:「最初はこういうことよくあるから」

美優:「ありがとうございます。助かりました」


○国際事業部 夕方6時

初日の業務終了。美優、疲れているが充実した表情。

田村:「お疲れさま、美優ちゃん」

美優:「お疲れさまでした。今日は本当にありがとうございました」

鈴木係長:「横井さん、初日にしてはよく頑張りましたね」

美優:「ありがとうございます。まだまだ勉強不足ですが……」

鈴木係長:「謙虚なのは良いことですが、もう少し自信を持ってくださいね」

美優、うなずく。


○神崎グループビル 1階エレベーター前

美優がエレベーターを待っていると、蓮が現れる。

蓮:「お疲れさまでした」

美優:「あ、蓮さん! お疲れさまです」

蓮:「初日はいかがでしたか?」

美優:「とても勉強になりました。皆さん親切で……」

蓮:「それは良かった。無理はしていませんか?」

美優、蓮の気遣いに心が温まる。

美優:「はい、大丈夫です」

エレベーターが到着。

蓮:「もしよろしければ、一緒に帰りませんか? お疲れでしょうし」

○丸の内駅まで 夕方

二人が並んで歩く。美優は少し緊張しているが、嬉しそう。

蓮:「今日の業務で一番印象に残ったことは何ですか?」

美優:「みんなで協力して一つのプロジェクトを進めていることです。一人では絶対にできないことも、チームなら実現できるんだなって」

蓮:「良い気づきですね」

美優:「蓮さんも、学生時代にこういう体験をされたんですか?」

蓮:「いえ、私は最初からこの会社でしたから。あなたのような新鮮な視点を持てるのは羨ましいです」

美優、意外な言葉に驚く。

美優:「私なんて、まだまだですよ」

蓮:「そんなことはありません。山田部長からも『熱心で真面目な学生だ』と報告を受けました」

美優、嬉しそうに頬を染める。


○丸の内駅 改札前

蓮:「今日はお疲れさまでした。明日もよろしくお願いします」

美優:「こちらこそ、ありがとうございました」

蓮:「何か困ったことがあれば、遠慮なく相談してください」

美優:「はい。でも、まずは自分でやってみます」

蓮:「その姿勢、とても良いと思います」

微笑み合う二人。

美優:「それでは、お先に失礼します」

蓮:「気をつけてお帰りください」


○美優のアパート 夜

美優、健人と夕食を食べながら。

健人:「どうだった? 初日」

美優:「思ったより大変だったけど、すごく勉強になった」

健人:「そっか。姉ちゃん、なんか生き生きしてる」

美優:「え?」

健人:「前よりも表情が明るいよ。きっと良い環境なんだね」

美優、鏡を見る。確かに以前より表情が豊か。

モノローグ(美優):「新しい世界で、新しい自分を見つけられるかもしれない」

○神崎グループビル 蓮の専務室 同時刻

蓮、今日の美優の様子を思い返している。

モノローグ(蓮):「彼女の一生懸命な姿を見ていると、こちらも気が引き締まる。明日はどんな成長を見せてくれるだろうか」

ナレーション(美優):「新しい日常が始まった。まだわからないことばかりだけど、確実に新しい世界に足を踏み入れている。そして、蓮さんがいつも見守ってくれている安心感もあった──」