廃部寸前な手芸部ですが、ユーレイ部員が助けてくれるようです!?

 それは。
 
 一瞬で鹿弥さんも計兎くんも警戒態勢に入った。
 ピリッとした空気は、呼吸するのも痛いほどだ。
 
「そちらの彼らも同じだね」
 
「ええ。春日鹿弥です」
 
「桂計兎だけどー?」
 
 手短に自己紹介を済ませたふたりに、白河会長はゆったり頷くと手を胸に添えて会釈した。
 
「生徒会長の白河眞墨です。東雲さんには手芸部存続のための相談を持ちかけられてね。何かできることはないかと探していたんだ。なんなら俺も入部しようかと思ったんだけど……」
 
 
 え、えええ、ほんとに!?
 
 白河会長ったら、さっきから爆弾発言の連続だ。
 部員が増えるのは大歓迎だけど、この状況で白河会長まで入部されたら、手芸どころじゃない。
 そんな私の思考を読みとったのか、真神がずいっと前に出てくる。
 背中が大きくて、すっぽり隠れてしまいそうだ。
 
「ずいぶんお優しい生徒会長様だな。あいにく部員の数は足りている。放っておいてもらって構わない」
 
「数だけで押し切れると思うのは考えの足りていないやつの言うことだね。その場しのぎばかり繰り返していてもイタチごっこだ。なぜこの災難が降り掛かってきたのか……根本を絶たなければいつまでも脅威は脅威のままだよ」
 
「なら、生徒会長様にはアテがあるというわけか。後学のために聞いてやろう」
 
「知識は扱える人間が扱ってこそ最も効力を発揮する。ナントカの考え休むに似たりと言うけれど、答えだけ放り投げられてもそれを最良の形で活かせるかは別の話だろう」
 
「なんだ、つらつらと能書きばかり立派だな。見かけだけ立派でも後ろをみたらハリボテだった城がいつかの時代にあったが……どれ、男前の生徒会長。背中を見せてくれないか?」
 
 舌戦、とはこういうことを言うのかもしれない。
 
 または大人気ない口喧嘩。
 
 どちらが先にやり込められるかを見ていたい気持ちもあるけど、正直胃が痛くなってくる。
 なので、私はそろそろと真神の背中から顔を出した。
 
「あ……あの、白河会長。私たち、部室に行かなくてはならないので」
 
「ん? ああ、すまなかった。当事者の東雲さんを置き去りにしていたね」
 
「い、いえ。見学なら歓迎なので、またいつでもいらしてください……」