* * *
「わざわざありがとうございます。気にかけていただいて……すみません。あの、律の仕事に支障があったとか、そういうことではないですか?」
5月に入ってすぐの夜。怜花のスマートフォンが突然鳴った。そもそも着信が来ること自体が珍しいが、その相手が相手が相手であったため、怜花はソファの上でに正座をして画面をタップした。
『はい。ただ、そうですね……個人的に気になったというか、二階堂さんがそれ以降の報告を僕に対して怠っているとも言えますが。』
「報告……?」
『はい。怜花さんが少々困った事態になっているということを伺っています。お困りのことがありましたら、紹介できる伝手は多いですよ、僕は。』
「……あの、やっぱり仕事でその、寝不足かなみたいな風に思われる行動はあったってことですよね?」
おそらく律がきちんと眠っていなかった時期があったことは九重には見透かされている。それがわかって、怜花の声はみるみる小さくなっていく。
『まぁそうなりますね。でも全てを聞いたわけではありません。ただ、怜花さんがお困りのようだということはわかっているので、力になれる範囲のことがあれば力添えいたします。勤務時間外ですので、これはもちろん、二階堂さんの知り合いである僕一個人が、という意味ですよ。仕事の延長線上にあるわけじゃないです。』
「……その、すみません。何から何まで。十分すぎるくらい気にかけていただいてるのもわかってますし、律の寝不足は私に付き合わせてしまったからで……。それもすみません。でも今は、眠れてますし、食事も大丈夫です。」
律がどこまで話しているのかはわからないが、九重が気付いた最も状態が良くなかったときは少なくとも脱している。ただ一つ、懸念事項は残っているが。
「あ、あの……こちらの住所や電話番号などを知らせずに相手に連絡を取る方法とか、ご存知だったりしますか?」
『スマートフォンのレンタルサービスでしょうか。それでしたら期間を区切ればその電話番号にかかってきたとしても怜花さんに繋がることはないかと。』
「レンタル!そ、そうですよね。住所、知られるわけにはいかないっていうのが一番に頭にあって……そこまで考えが回ってませんでした。ありがとうございます。」
『いえ。二階堂さんの給与から引き落としで僕が手配して二階堂さんに持たせることもできますよ?』
「九重さんにそこまでしていただくわけには!」
怜花が少し大きな声でそう言った時だった。リビングのドアが開いて、髪を無造作に拭きながら少し拗ねた顔をした律が、その目を怜花に向けた。
「……なんでこんな時間に九重くんと電話なんかしてるの?」
「わざわざありがとうございます。気にかけていただいて……すみません。あの、律の仕事に支障があったとか、そういうことではないですか?」
5月に入ってすぐの夜。怜花のスマートフォンが突然鳴った。そもそも着信が来ること自体が珍しいが、その相手が相手が相手であったため、怜花はソファの上でに正座をして画面をタップした。
『はい。ただ、そうですね……個人的に気になったというか、二階堂さんがそれ以降の報告を僕に対して怠っているとも言えますが。』
「報告……?」
『はい。怜花さんが少々困った事態になっているということを伺っています。お困りのことがありましたら、紹介できる伝手は多いですよ、僕は。』
「……あの、やっぱり仕事でその、寝不足かなみたいな風に思われる行動はあったってことですよね?」
おそらく律がきちんと眠っていなかった時期があったことは九重には見透かされている。それがわかって、怜花の声はみるみる小さくなっていく。
『まぁそうなりますね。でも全てを聞いたわけではありません。ただ、怜花さんがお困りのようだということはわかっているので、力になれる範囲のことがあれば力添えいたします。勤務時間外ですので、これはもちろん、二階堂さんの知り合いである僕一個人が、という意味ですよ。仕事の延長線上にあるわけじゃないです。』
「……その、すみません。何から何まで。十分すぎるくらい気にかけていただいてるのもわかってますし、律の寝不足は私に付き合わせてしまったからで……。それもすみません。でも今は、眠れてますし、食事も大丈夫です。」
律がどこまで話しているのかはわからないが、九重が気付いた最も状態が良くなかったときは少なくとも脱している。ただ一つ、懸念事項は残っているが。
「あ、あの……こちらの住所や電話番号などを知らせずに相手に連絡を取る方法とか、ご存知だったりしますか?」
『スマートフォンのレンタルサービスでしょうか。それでしたら期間を区切ればその電話番号にかかってきたとしても怜花さんに繋がることはないかと。』
「レンタル!そ、そうですよね。住所、知られるわけにはいかないっていうのが一番に頭にあって……そこまで考えが回ってませんでした。ありがとうございます。」
『いえ。二階堂さんの給与から引き落としで僕が手配して二階堂さんに持たせることもできますよ?』
「九重さんにそこまでしていただくわけには!」
怜花が少し大きな声でそう言った時だった。リビングのドアが開いて、髪を無造作に拭きながら少し拗ねた顔をした律が、その目を怜花に向けた。
「……なんでこんな時間に九重くんと電話なんかしてるの?」



