「…電話、邪魔した?」
「ううん。えっと、律の事務所で出くわした三澄さん経由で、里依のところに話がいったから…心配させたのと、大丈夫かって電話で…。」
怜花が言い終わると、ベッドに座っていた怜花の隣にすとんと律が腰を下ろした。怜花の肩に律の頭がもたれてくる。そして律の手は怜花の手を取り、指を絡めた。
「…来てくれて、ありがとう。」
「…呆れて、ない?」
「えー…自分には呆れてるよ。怜花にそこまでさせてどうすんのって。…ごめんね、変な記事出て。それだって全然、怜花のこと安心させられるような内容じゃなくて。」
律の言葉がゆっくりと、静かに低く落ちていった。怜花は首を横に振った。そして、絡められた指にきゅっと力を込めた。
「…浮気してるわけじゃないし、怜花は俺がどれだけあの子が苦手かってわかってるとは思うけど、でも、…別の女と噂になるなんて、普通に嫌じゃん。俺だったら嫌だし。怜花が誰と付き合ってるとか、別の奴とのほうがお似合いとか、見たくないし聞きたくない。」
「…律の仕事が、ちょっと特殊だからだよ。それは律のせいじゃない。」
「…はぁー…やっと、息ができる。…怜花、いる。…手、握ってくれたの、嬉しかった。」
「手?」
どの時のことを言っているのかわからなくて、怜花は律の方を向きながら尋ねた。すると、手をにぎにぎと動かしながら、それでも視線はまだ合わない律が口を開いた。
「最初。控室来てくれた時。…九重くんがいる前で怜花から距離詰めてくれると思わなかったから、…あれ、結構嬉しかった。」
「あっ…あっ!そ、そうだね、九重さんいたね!うわ…ちょっと待って…私、結構恥ずかしいことしたね…。」
「え、九重くんのこと、忘れてた…?」
「いや、そんなわけはないし違うけど…その、九重さんがいることはわかってたけど、その…心配で。」
「心配?」
ようやく律がぼんやりと、怜花の方に顔を向けた。
「…うん。やっぱり、声だけじゃ…わからなかったから。舞台挨拶も見せてもらったんだけど、舞台挨拶のときは私が今まで、声優の『二階堂律』として知ってる姿で、だから…ある程度割り切ってやれるくらいに回復したのかもなんて思ってたけど、でも…全然、違ったから。」
控室で座っていた律の肩が落ちていて、最初に九重に向けられていた表情も重く、怜花を見つめて驚いた時の一瞬だけはいつもの顔に見えたけれど、その後その表情はすぐに消えてしまった。だから、触れてしまったのだ。自分の知っている律の顔を探すために。
「ううん。えっと、律の事務所で出くわした三澄さん経由で、里依のところに話がいったから…心配させたのと、大丈夫かって電話で…。」
怜花が言い終わると、ベッドに座っていた怜花の隣にすとんと律が腰を下ろした。怜花の肩に律の頭がもたれてくる。そして律の手は怜花の手を取り、指を絡めた。
「…来てくれて、ありがとう。」
「…呆れて、ない?」
「えー…自分には呆れてるよ。怜花にそこまでさせてどうすんのって。…ごめんね、変な記事出て。それだって全然、怜花のこと安心させられるような内容じゃなくて。」
律の言葉がゆっくりと、静かに低く落ちていった。怜花は首を横に振った。そして、絡められた指にきゅっと力を込めた。
「…浮気してるわけじゃないし、怜花は俺がどれだけあの子が苦手かってわかってるとは思うけど、でも、…別の女と噂になるなんて、普通に嫌じゃん。俺だったら嫌だし。怜花が誰と付き合ってるとか、別の奴とのほうがお似合いとか、見たくないし聞きたくない。」
「…律の仕事が、ちょっと特殊だからだよ。それは律のせいじゃない。」
「…はぁー…やっと、息ができる。…怜花、いる。…手、握ってくれたの、嬉しかった。」
「手?」
どの時のことを言っているのかわからなくて、怜花は律の方を向きながら尋ねた。すると、手をにぎにぎと動かしながら、それでも視線はまだ合わない律が口を開いた。
「最初。控室来てくれた時。…九重くんがいる前で怜花から距離詰めてくれると思わなかったから、…あれ、結構嬉しかった。」
「あっ…あっ!そ、そうだね、九重さんいたね!うわ…ちょっと待って…私、結構恥ずかしいことしたね…。」
「え、九重くんのこと、忘れてた…?」
「いや、そんなわけはないし違うけど…その、九重さんがいることはわかってたけど、その…心配で。」
「心配?」
ようやく律がぼんやりと、怜花の方に顔を向けた。
「…うん。やっぱり、声だけじゃ…わからなかったから。舞台挨拶も見せてもらったんだけど、舞台挨拶のときは私が今まで、声優の『二階堂律』として知ってる姿で、だから…ある程度割り切ってやれるくらいに回復したのかもなんて思ってたけど、でも…全然、違ったから。」
控室で座っていた律の肩が落ちていて、最初に九重に向けられていた表情も重く、怜花を見つめて驚いた時の一瞬だけはいつもの顔に見えたけれど、その後その表情はすぐに消えてしまった。だから、触れてしまったのだ。自分の知っている律の顔を探すために。



