私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

ふぅっと七瀬くんが息を吐く、それを見て私も少しだけ冷静になる。
それはそうだ、急にお見合いを突き付けられた気持ちは私だってよくわかってる。

「だから写真を父親に差し替えたんですよね」

え?あの写真…!?

「七瀬くんがやったの!?」

「はい、あれ見たら引いて取りやめるかなって」

笑ってるんだけど、余裕見せて笑ってくるんだけど。

本当にこの人は…っ

「それでもOK出してきたんでびっくりしましたけど、一体どんな人なんだって思いましたね」

「そ、それは母が勝手に…」

七瀬くんからスッと視線が落ちる、見ていられなくて。

全く期待されてない私は親の言いなりだから。

「そしたら衣咲さんが適当な婚約者探してるって言うんで」

「…うっ」

「だったら手を組んで破棄すればいいかって」

「……。」

そうだったんだ、それで私に…

「思ってたんですけど」

七瀬くんが目を伏せた、そんな七瀬くんが初めてだった。

「衣咲さんって抜けてるじゃないですか」

かと思えば顔を上げて空を見る。雲一つない青空は眩しそうで。

「それにお人よしでどんくさくてやる気だけはあって」

「悪かったね、そんなやつでっ」

「なのに料理はめちゃくちゃ上手いとか超ギャップじゃないですか」

「別にそんな…」

ちょっとがんばってるぐらいで言われるほどじゃない、なんなら他は人より出来てないんだし。

「衣咲さんは優しい人ですよ」