私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

「衣咲の家、お茶の家元だっけ?だから厳しいんでしょお母さん」

「いや…そんないいものじゃないけど、ただのお茶の先生だから」

そこまで名のしれた名家じゃない、というか私には関係がなくてもうほとんど見捨てられてるから。
あの家は姉が継ぐことになってるし、私は母にとったら欠陥品のお荷物で…


だからせめて良いところの家の息子と結婚させたいの。


「…厳しいのは確かだけどね」

はぁっと息を吐いてコーヒーを飲んだ。苦い、もう少し砂糖入れればよかったかも。

「気にするんだよね、そうゆう体裁?とか世間体とかね」

昔から言われてた。

姉は勉強も出来て、運動も出来て、いつも母親に褒められる存在だったから。
今だって一流企業勤めの旦那さんと結婚して子供も生まれて、まさに幸せな家庭って感じで。

それに比べて私は…

「行き遅れの出来損ないの娘(32)には厳しくもなるよね」

こんなんだから、はたから見ても自分から見ても。

社長の息子を用意してくるのも、母の本気度が伺えるわけで。

「別に私はいいと思うけどねぇ、そんなの人に言われてするものじゃないし今の時代結婚が全てでもなくない?」

「十々子…」

「まぁ私も結婚はしてないから、世間から見ればそう思われてるのかもしれないけど私は誇り持って仕事してるしもっとやりたいことあるし」

十々子は同期の中でも1番の出世頭で、男の人の中でも負けずにバリバリ仕事をしてる。その姿はカッコよくて、同期だけど憧れでもあって。