私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

毎日お弁当を食べてくれてたのも全部、ずっと…

そうだったんじゃないの?


私が言ったから…私が探してたから、嘘をついてでもほしかったから。


あ、やばい。
押し寄せてくる、息が詰まって胸が痛い。


七瀬くんの隣はどこより居心地の良い場所だったのに。


もう顔が見られないー…!


「あのっ衣咲さん!」

早く着いて、エレベーター。
勝手に飴を溶かしたこの空気を消し去って。

「そうだよね、わかった!」

七瀬くんに背を向ける。

「衣咲さん何がわかってっ」

もう振り向けない、振り向かない。

「ごめんね、もういいよ」

チンッと音が鳴る、今すぐにでも飛び出たかった。
一刻も早くここから逃げたかった。

「衣咲さん…!?」

空気が薄くなる前に、早く息をしなきゃ。

「もう大丈夫だから…っ!」

このままじゃダメだから、もう止められないから。

「衣咲さん待って…!」

開いた瞬間、駆け出して。
七瀬くんの声も聞かずに走り出して。


やっぱり私には無理だった。

最初から答えは出てたんだよ。


こんなことしなきゃよかったんだ。


親の言いなりのお見合いぐらい受けておけばよかった。



苦しい、あの時よりずっと苦しい。

七瀬くんくんのことを思うと苦しくて、泣きたくなる。




私七瀬くんのことー…