私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

「練習したから」

卵焼きを掴んで口に入れる。 

この卵焼きだって最初はこんなにキレイに焼けなかった。焦げちゃったり、生焼けだったり、全然おいしく出来なくて。

「でも上手くなりたくて、こうゆうとこからちゃんとしたいなって思ったの」

せめて出来ることから、人より上手く出来ないかもしれなけどだからこそ出来るようになりたくて。

「おいしいならよかった、嬉しい」

そういえば、誰かに食べてもらうのって初めてかも。
毎日お弁当は作ってるけど誰かのために作ったことはなくて、今初めて七瀬くんに食べてもらった。

七瀬くんが初めてのー…

「人が作る弁当って初めて食べました」

え?初めて…?

「学生時代は?お弁当じゃなかったの?」

「弁当でしたよ、でも母親は料理得意じゃなかったんでいつも買ってましたね」

…そんな、家もあるよね。あたかもお弁当があたりまえみたいな言い方しちゃった。

家庭の事情とか、そうゆうのあるわけだし…

「だから今テンション上がってます」

にひって歯を出して笑った。

また見たことない顔だった。

そんな風に笑った顔、初めてだった。

心の奥が熱くなる、無性に踊りだしたくなるようなそんな感覚。

さっきよりも嬉しかった。嬉しいって思ってしまった。

「卵焼きがハート形とか可愛いですね!」

嬉しくて、せっかく作って来たお弁当が喉を通らない。