私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

別に深い意味なんてない。

だってあれは事実だし、見たままの状況だったし。


でもどうしてか、何度も思い出してしまうの…



“一緒にいるの俺なんで”




「衣咲、食堂?珍しいね、いつもお弁当なのに」

「まぁね…、ちょっと寝坊したから」

「何~?婚活?いい人見付かった??」

「…十々子、順番来たよ」

眠れなかった、昨日は。
目を閉じるたびに思い出しちゃって、何度も何度も瞼の裏に現れるからー…


「七瀬買わねぇの?」


その名前にビクッと反応しちゃって。

「あー、俺はお湯もらいに来ただけだから!」

「今日もカップ麵かよ~」

「うまいからいいんだよ」

あの七瀬くんだ、紛れもなく七瀬くんだ。
昨日買ったカップ麺片手にコツコツと歩いて…

「いつもカップ麵なの?」

「衣咲さん!」

つい話しかけちゃった、カップ麵の上に乗せた割りばしがあまりにこ慣れてたから。

「食堂で買う金ないですからね」

「ふーん…でもそれって栄養大丈夫なの?」

「まぁどうにかやってるんで大丈夫じゃないですか、あとこれが1番安いんで」

安い…、頼まれて買った100円のカップ麺だからそれはそうかもしれないけど。

「衣咲さんは食堂ですか?」

「うん、今日はお弁当作る時間なかったから」

「いつも弁当なんですか!すごいですね~、俺自炊一切しないんで作る気もないっすね」

……。

ふーん、そうなんだ。
料理はしないんだ、なんでも出来そうな顔して料理は…

別にね、1個作ろうが2個作ろうがそんなに変わらないの。

ちょっと朝早く起きるだけだもん、それぐらい全然ね?

ほら深い意味なんてないんだしね??

「七瀬くん、よかったら…お弁当作ろうか?」

とか言ってみたり。