私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

りんご飴を1つ買った。ずしんと重たいりんご飴はぎっしり身が詰まってる。

「衣咲さんは買わないんですか?」

「うん、私はいいよ」

「嫌いですか?りんご飴」

「好きだけど、…ここで食べるのってちょっとあれじゃん?学生じゃないんだから」

いい大人が何してるんだみたいな。

お祭りにはしゃいでりんご飴あるっとかじりつくってちょっと…ね?

「じゃあ半分コ、しません?」

「えっ、いいよ!」

「俺こっちからかじるんで、衣咲さんこっちからどうぞ」

「いいよいいよ、いらないよ!」

「じゃあ衣咲さん、お先にどうぞ」

だからいいって、そんなの私は…!

ゆっくり上を見る、七瀬くんと目が合って。でもすぐに逸らしたくなってしまう。

「…私はいいから、七瀬くん食べなよ」

「いーじゃないすか別に誰かに見られてるとかでもないですし、気にしなくていいんですよ」

「でも、それは…っ」

もう一度、手を掴んだ。

私の手を持って、りんご飴を持たせるように。その上から七瀬くんがぎゅっと力を入れた。

「一緒にいるの俺なんで」