私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

コトンッとコップを置いた七瀬くんがにこっと微笑んだ。

「職場では先輩と後輩ですから、会社には秘密にしてるんです」

それは昨日決めた設定、まぁあるあると言えばあるあるかなったからこれはそんなに怪しまれないと思って。

「だから気を付けようって…、バレないようにって思うと家の遠い衣咲さんの家を選んでしまうんですよね」

「……。」

そこまでは決めてなかった設定、七瀬くんが本当のように話すから。

隣を向いて私と目を合わせる。
じっと見られて異様にドキドキしてしまった。

「ごめんね、衣咲さん。いつも俺ばかりが負担かけちゃって…」

そっと私の手を握って…

「だけどこれで結婚することになったら、一緒に暮らせるから」

そして、くすっと笑った。

なぜか勝ち誇ったように…


てゆーか握って!?手を握って…!?

そこまではっ、そこまではしなくても…!


ボンッて顔が赤くなる。きゅって七瀬くんが力を入れて握ったから。

「え、あの…っ」

「早く一緒に暮らしたいよね、そしたらずっと一緒にいられるのに」

だからそこまで言えとはいってない!もう十分だから、伝わった!

そのお芝居伝わってるから…っ

「いーちゃんあそぼ~!」

たたたっとあおくんが駆け寄って来た。だからすぐにあおくんの方を見て立ち上がろうと思った。

「うん、遊ぼう!何して遊ぶ!?何がいい…っ」

けど、早くこの場を切り抜けようとした気持ちが先走っちゃってオタオタと足がおぼつかない。

30歳過ぎた今、若干の衰えに不安しかない。


だから早く結婚も考えた方がいいとは思う…

けどっ


「うわっ」