私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

「え…!?な、なんで急に…」

「楓くんの家にあるグラスも見たことないの?」


…あっ!!


キョトンとするお姉ちゃんの顔を見てハッとした。


本当だ、しまった!


今の会話は七瀬くんの家にを知らないみたいだ、しかもすごい驚いちゃったし。だってびっくりしたんだもん、こんな高価なもの取り揃えてるんだって思ったら。

「付き合ってるのに家に行ったことがないってこと?」

「そんなっ、そんなわけないじゃん!あるよ、何度もあるよ!?」

昨日、七瀬くんとは打ち合わせをした。今日に備えて聞かれそうな質問の答えと設定は決めておこうって。

彼氏彼女だから今日は七瀬くんも敬語はいらないよって決めてたのに…


そこは決めてなかった。

どれぐらい家に行き来してるとか考えてなかった。だって行ったことないし。


「なんか不自然じゃない?」

「何が!?全然不自然じゃないよ!ほら私コップとかそーうゆうのよくわからないから気にしたことなくてっ」

「え…あれだけ実家で見てるのに?同じものが家にあったら話盛り上がることない?」

「それは、そんなことっ」

ある…!!!

絶対わーってなるよね、一緒のものあるんだってなる…!

「…本当にちゃんとした婚約者なんでしょうね?」

「……え?」

お姉ちゃんはこんな時、意外にも鋭くて。
今後うちの家を継いでいく身としてそんな嗅覚が備わっている、人を見る目があるってやつ。

「衣咲のことだから親の用意したお見合いが嫌で適当に婚約者あてがってる可能性もあるから…」

そして私への解像度が高い。
私のことしっかりわかって…

「僕の家、会社から近いんですよね」