私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

「…なんで衣咲さんが謝るんですか?」

「私…ひどいこと言ったなって、私から婚約者のフリをお願いしたのにあんな言い方…」

よくなかった、つい感情的になって突き飛ばしたりして。

「そーですか?衣咲さんは至極まっとうなこと言ってましたよ」

「……。」

「言ってました」

「…?」

あれ、そうだっけ?
なんかすごいひどいこと言っちゃったって思ってたけど…

「金で何でもしますって言ったのは俺なんで」

確かに!!!

冷静に考えたら私そこまで悪くないんじゃない?そこまでのことは言ってなくない!?

なんか私が悪いんだとばかり…

「だからやっぱり婚約者、やらせてください」

七瀬くんが私の方を見る。
首を傾けて、下からのぞき込むように。

だけど、そんなの…
もうやめようって、私は…っ

「マジで金に困ってるんです!」

え?

パンッと手を合わせて今度は七瀬くんが頭を下げた。

「マッジで今金ないんですよ!望みは衣咲さんだけなんです、だから俺に婚約者やらせてください!!」

…へぇー、なるほど。
そうゆうことだったのか…

これはよっぽどお金がないと見た。

軽い小遣い稼ぎ感覚で引き受けたわけじゃなさそうね。

「ダメっすか?」

「…いいけど」

そんなふうに頼まれたら断れない、それは決まって私のことだから。

「え、いいんですか!」

「うん…、探してたのは探してたから」

婚約者のフリをしてくれる人を、だから今一度考えてみてこれで乗り切れるなら。

いや、わかんないけど。

乗り切れるか不安だけど。