私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

あ、下なんか向くんじゃなかった。下を向いたら必然的にこぼれやすくなってしまうのに。

「しかもそれで自分の仕事出来てないなんて、何してんのって話だよね」

それこそいい大人が何してんだって。

だけどそうだよ、そう思うよ。

そんなの私だってわかってるよ。

「私、要領悪いの!何でも引き受けちゃうし、頼まれなくても勝手に首突っ込んで意味なく正義感発揮しようとしちゃって…結局うまく出来ないのに、そんなことばっかりで」

なんでこんな話してるんだろ、こんな話七瀬くんにしたってしょうがないのに。

だけど今、すごく誰かに聞いてもらいたくて。

「だから心配されて母親にお見合い勧められるんだよね、たぶんこいつは放っておいたら無理だ1人じゃ生きていけないって思われてるの!」

実際そうなのかもしれないけど、全然うまく生きていけないんだから。お母さんの言う通りお見合いして結婚するのが幸せなのかもしれない。

「みじめな存在だよね」

だけど悔しくて、諦められてるみたいで悔しくて。

私にだって自分で決めたいことぐらいあるのにー…

「そうですか?俺はカッコいいって思いますけど」

「え…?」

「それって責任感あるってことじゃないすか」

まっすぐ七瀬くんがこっちを見るから思わず顔を上げてしまった。

「嫌な仕事だって引き受けて、困ってる人がいたら助けて、それの何がダメなんですか?」

「…。」

そんなこと、言われたのは初めてだったから。

そんな風に私のことを見てくれる人は初めてだったから。

七瀬くんの瞳が凛として。

「…ごめんなさい」

ぺこりと頭を下げた、七瀬くんに向かって。