私の婚約者は、嘘ばっかり〜クズだけど優しい彼〜

…なんて、言えたらいいんだけど。
言えないしそんなこと、はいっていちごミルクの紙パックを受け取っちゃう自分が嫌になる。

「すみません…」

意味もなく謝っちゃって。

てゆーか彼女全然戻ってこないし、掃除機見付からないのかな?私が掃除機取りに行った方がよかったかな…

はぁっと息を吐いて、ゴミ袋に入れ損ねた紙くずを拾う。
ここだけ片付けたら捨てに行こうかな、ここでやるのはよくないらしいし早く…


あ、なんか苦しい。息が苦しい。

私何してるんだろう…


「俺持っていきますよ」


スーッと腕が伸びてきた、私の手からダストボックスを取り去っていく。

隣にふっと現れた。

「七瀬くん…!?」

「衣咲さんはまだ自分の仕事残ってますよね?」

スッと七瀬くんが視線を向けた先、同じように見て思い出した。その辺に忘れられていた伺書の存在を。

「あっ!!」

てゆーか忘れてたわけじゃないけど、覚えてたけど!

「それ中越(なかこし)さんのですよね、今戻ってきて席にいるんで行って来たらどうですか?」

「うんっ、あ…でもっ」

「ここは俺がやりますから」

なんでもYESで答える私だけど、こんな時頷くのは少しだけ勇気がいる。

人に頼むはあんまり得意じゃなくて、だからお金を払おうなんて思考回路にたどり着いたぐらいだ。

「婚約者として、困ってたら放っておけないじゃないですか」

「…っ」

もういらないって言ったのに、断ったのに…
そんなふうに言われたら。

「まぁフリなんですけどね~!」

笑って言わないでよ。
泣きそうになるじゃん。

「しかもこれ営業部のなんで衣咲さんの仕事じゃないですし」

だって今度はそんな顔だったから、にこって微笑むみたいな顔だったから。

「だから早く行ってください」

苦しかった息がすーっとしやすくなる。