好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

 驚いて後ろを振り返る。そしてその人の姿に、息を呑んだ。
 黒色の髪、群青色の瞳ですごく顔立ちの整ったその人は──まぎれもなく、玄さまだった。
 えっ……、ま、まさか、同じ学校だったの……!?
 初めて知ったんですけどっ……!
 ポカンと開いた口が塞がらない。すると運悪く目が合ってしまって、玄さまは目を見開いたあと「お前……」と口を開く。
 ひ、ひぇぇぇぇっ、そうですよね、お怒りですよねっ。
「はーい! みんな集まったかな? じゃあ注目してくださーい!」
 何を言われるんだろうと身構えていたら、実行委員長らしい人が手を打って玄さまの言葉を遮ってくれた。
 玄さまはチッと舌打ちしてから、注目を集めた人の方を向く。
 な、なんとか助かった……。でも、あとが怖い……。
「初めまして! 僕は、三年五組今年合唱祭実行委員長に選ばれました、森河裕貴(もりかわゆうき)です! よろしく!」
 やっぱり実行委員長だったらしいその人は、にこにこと微笑む。人あたりの良さそうな人だ。
「じゃあ早速、三年生から自己紹介してって〜! 組と名前、良ければ意気込みをよろ!」
 よ、よろって……ノリの軽い人だ……。
 実行委員長さんの一言で、三年生の一組から順に自己紹介をしていくことになった。