好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

 走って、走って、走って。いつの間にか、私は沙雪家……ではなく、その隣の建物・寮へ帰ってきていた。
 今の時間帯はきっと陽宙くんも春雷くんもいないから、安心して寮に入ったら……
「おかえり……って、柚希……?」
 なんと、春雷くんがいた。
 あわてて、泣き顔をバッグで隠す。けど……もう手遅れだ。
「しゅ、春雷くん、これはあの……」
「……無理に説明しなくてもいい」
 春雷くんはこっちへ来ると、手を私へ伸ばした。
 そのまま、少し遠慮がちにぽんぽんと頭を撫でられる。
 春雷くん……?
「泣きたい時は、泣いた方が苦しくなくなる」
「……!」
 春雷くんが優しい言葉をかけてくれて、私は唇を噛んだ。
 すると、ずっと我慢していた涙があっけなく数滴零れてくる。
 私はそれを手でごしごしと擦って誤魔化そうとすると、春雷くんが制した。