好きになっちゃ、いけない。〜イケメン主は家政婦兼最強スパイちゃんを溺愛したい〜

「……約束したの、忘れたのか……?」
 うめきながら玄さんが言った言葉を、私はちゃんと聞き取った。
 約束……そんなの、忘れるわけない。
「関係、なくないだろ……」
 壁についている手に、玄さんがぎゅっと力を込めたのがわかる。
 玄さん……。
 玄さんが今言ってくれた言葉が、嬉しくて……それと同じぐらい、苦しかった。
 関係なくない。すごい関係あるよ、玄さん。
 だけど……今、私が関係ないって言ったら、怒ってくれた玄さんの、その顔が。
 私がいつか株式会社namihara側だってバレて、幻滅したような顔に変わってしまうことを想像したら──ものすごく、怖い。
「……っ、え、柚希……? 泣いて……」
 え…………?
 玄さんにそう言われて、初めて気づいた。頬を、一筋の雫がつたっていることに。
 あれ……私、なんで泣いて……。
「ごめ……泣かせるつもりはなくて」