男装幹部はお姫様にご執心

キーンコーンカーンコーン




チャイムの音と同時に教室に滑り込む。

あ、もちろん奈々は校門のところで降ろしましたとも。奈々に恥ずかしい思いをさせるわけにはいかないからね。



「…ッセーフ、ですか?」



ぜぇはぁと息を切らせながらも、教卓にいる人―――私たちの担任である福田庵(ふくだいおり)先生、もといだいふく先生に尋ねる。



「…ふむ、惜しいな。あと五秒遅ければ遅刻にできたものを…おめでとう七瀬、それに桃崎セーフだ」



なんともわざとらしい笑みを浮かべて、祝いの言葉を述べる伊織。

この学校で校長と奈々を除けば唯一私が女であることを知っている人物。



なんで知ってるのかって?……コッチが知りたいくらいだし。


廊下歩いてたら呼び止められ、『お前、女で合ってるな?』なんて言われた時の驚きは今でも覚えている。


全く何者なの、この教師は?
見た目は…まあ悔しいけどインテリ系イケメンとでも言おうか。黒縁眼鏡がまた、いい味を出してる。

頭がいいことも知っている。なんでも、こんな不良校に居るのは勿体ないくらいの…というか教師をしてること自体が不思議なくらい優秀な人らしい。

そして何故か運動もできる。この前喧嘩する生徒の仲裁をしているところを見たけど…あれは武道を齧ったことがある、なんてもんじゃない。

ルール無用の喧嘩に慣れてる人の動き方だった。