「……こ名誉部長、もう終わっちゃいました?」

 体が、動かない……。

「あら、カラちゃん。今日の部活動はここだったっけ?」

「いえ、違いますけど、ちょっと見物に」

「残念だったわね。たった今、成功に終わったわ」

 成功?

「達筆君…フフ…死んでる」

 え!?
 そうか。やっぱり僕、死んだんだ……。
 死んだ人間って、自分が死んだことに気づかないってこともあるって何かの本に書いてあった。うん、そのパターンだ。

「速記ちゃんまで、来てくれたのね。
どう? 集まった?」

 …………スルー? 速記さんの死んでる発言はスルーですか?
 僕、死んでるのに、放置されてない?

「あと……2本です」

 僕の生死より、鼻毛優先って……。不憫だ。僕、物凄く不憫。
 ちょっとその辺じゃ見かけないくらい、不憫のプロフェッショナルだ。

「ピちゃんがいないわね」

「ピゲは、部室の隅で目光らせてたので、置いてきました」

 ピゲさん……昨日襲われたことが、随分昔のことのように感じるな。
 あの時の走馬灯は凄まじかったなあ。
 中学校のベランダから宙吊りになったエピソードまでみちゃったもんな。
 
 あれ……? 走馬灯?

 そういえば、走馬灯、みてない。
 矢、ささりまくってたのに、走馬灯みてないよな。
 本当に死んだときって、みないものな――

「それにしても達筆君、いつまで寝てるのかしら」

 は? 寝てる?