「一緒のところ行こうよ!千颯も絵描くの好きじゃん!上手いし、千颯なら絶対受かるし!」

「いいよ」

「即答!?」

「おぅ」

ひょこっとキャンバスから顔をのぞかせて千颯の方を見た。真剣な顔をして向き合っていた千颯だったけど顔を出した私の方を見てふっと笑った。

「じゃあ約束!」

ほら、変わった。

不安だった気持ちが消えていくの、千颯がいれば変わる。

急に勇気が湧いてくるみたいに楽しみになる。

これからが、未来が、一気に光に照らされた気がして。


私ってば単純すぎる。


もう一度キャンバスと向かい合って前を向く、筆を持ったまま次はどこを塗ろうかなって考えながら。

「…大学と専門学校だったらどっちがいいかなぁ?千颯はどっちがいいと思う?」

「どっちでもいい」

「そこもっと意見ないの?」

「いいよ、どこでも」

いいのか、いや私が言ったんだけどさ。
一緒のところ行こうよって、でもどこでもいいって…

「こうして描けたら、どこでもいい」

……。

あ、そっか。
そうだね、そうだよね。

私も、この先もこうしていられるならどこでもいいよ。

ずっと絵を描きたい、いつかそれで認められる日が来ますように…


なんてね。だって千颯がいたら心強いし。