らくがきの中の君を、彷徨って見付けてさよならと言って

千颯の隣を離れるのはさみしい、いつも一緒にいたから急に1人になるみたいでさみしい。


でもいいんだ、これで。

いいんだよ、だって今ここで千颯のことを引き止めたら失ってしまう気がして。


夢を失っても、千颯のことは失いたくないの。


千颯の未来を奪いたくない。

応援したいの、千颯のことだから。


「…咲茉、1つだけ約束して」

「約束?もう美大は行かないよ、私絵はやめっ」

「俺から離れないで」

耳元でする千颯の息が、熱い。
その熱に耳が熱を帯びる。

「そばにいなくてもいい、隣になくてもいい、だから…俺から離れないで」

あぁどうしよう、そんな約束…

また前が見えなくなるよ。
涙が溢れてくるよ。

大粒の涙が頬を伝って。

「うん…っ」

ぎゅっと抱きしめた。
離したくない、このままいたい。

「離れない、ずっと千颯といるからだから…っ」

千颯の温度を体中に感じて、身を寄せた。

「離さないでね、千颯…っ」

絶対守るから、絶対守ってみせるから。


「それでいつか迎えに行く」


新しい約束をありがとう。


千颯の腕がほどけた、少しだけ上を向いて千颯の顔を見た。

追いかけて行こうと思ってた、どこにいてもどんなに遠くても絵を描くことをやめても。

「でもなんかそれってあれ…じゃない?」

ぐちゃぐちゃだったけど、涙でボロボロだったけど、千颯の顔を見たら安心しちゃって顔がほころんだ。

「なんていうか…」

「プロポーズだよ」


目を閉じた。

そっと近づくから、唇に千颯を感じて夢を見てるみたいに。


私も大事なの、千颯が大事だよ。



あの日からずっと、千颯のことー…