らくがきの中の君を、彷徨って見付けてさよならと言って

あの日、一緒に絵を描き始めた時からずっと。

「千颯とね…、絵を描いてる時が1番好きだった」

千颯と一緒にいて楽しかった。

「楽しくて、ずっとこんな時間が続けばいいのになぁっていっつも思ってた」

毎日飽きもせず一緒にいていろんな話をして笑い合って、千颯のことを思えば涙が止まらなくなるくらい千颯のことが好きだよ。

「離れたくないよ、そばにいてほしい…っ」


できることならこの先も、千颯といたい。

千颯が隣にいない未来は、この先どんな未来になったって考えられないよ。


そんなの想像もしたくない。


「俺は咲茉のことっ」


だけど…


「だからありがとう」


グッと目に力を入れて顔を上げた。千颯の顔を見るために。

「は…?何言ってんだよ…」

千颯にはこの先、まぶしいくらい光ってる未来がある。


もしね、千颯の未来に私がいないんだとしたら?

かなしくてさみしくて、つらいけど…


「なんだよそれ!ありがとうってなんだよ!?」

そしたら追いかける。

「行くなって言いに来たんじゃねぇのかよ!」

どこまでも追いかけるよ。


「そんなのまるで別れのあいさつみてーじゃねぇか…!」


千颯のいる場所まで追いかけるから。


「俺だってそうなんだよ!咲茉と絵を描いてる時が1番好きだったんだよ!」

私たちずっと一緒だったからね、ずっと同じこと思ってたのかな。

「咲茉といる時間が1番好きだった…!」

あの頃から、ずっと…


「咲茉より大事なもんなんかねーんだよっ!」


千颯の隣にいたんだから。


「咲茉といたいっ、そばにいるし隣にいる!だから…っ」


だけどね、苦しくなっちゃった。

千颯の隣にいるのが今は少しだけ。


千颯と目を合わせる。


せめて笑えて言えたらよかったかな?
だけど、どうしても上手くはできなくて。

あと少し、少しだけこの涙を許して。


「私、もう絵描けない…」