らくがきの中の君を、彷徨って見付けてさよならと言って

「今日早いのね、今千颯呼んでくるから待ってて」

「あ、大丈夫!お構いなく、全然…っ」

これはわざとだから、千颯に会いたくなくてわざと先に家を出てるんだから。
もうずっとこんな日々で、いつしかこれがあたりまえみたいになってて…


千颯だってわかってるはずだよ、私が避けてたこと。


「あ、そうだ咲茉ちゃん…千颯から何か聞いてない?」

持っていたジョウロを置いて、家のドアを開けようと伸ばした手を止めて振り返った。

「何かって…何を?」

「留学のこと、聞いてないかな?」

留学…の話か。

そういえばどうしたのかな?本当に行かないのかな?
何も聞いてないどころか、話してないからわかんないや。

「こないだ先生から電話があって考え直せませんか?って言われちゃって…」

「あー、千颯行かないって言ってたもんね」

「咲茉ちゃんは聞いてたの?」

「え…?」

千鶴ママが目を丸くした、千鶴ママは何も知らなかったみたいで。

「やっぱり咲茉ちゃんには言ってたのね」

「…っ」

「私には何も言わないから」

あ、やばい余計なこと言っちゃったかも。大して知りもしないくせに余計なこと口走るんじゃなかった。

「あ、でも!私も全然知らないよ!?留学行かないって聞いただけで!行けばいいのにねっ、もったいないよね、行った方が絶対…」

テキトーに何か言わなきゃって思ったんだけど、つらつらと出てきたのはこんな言葉ばっかりで。だってこんなの…

「咲茉ちゃんは留学のこと、知ってたのね」