歓迎会が終わり、酔いつぶれた私は、朦朧とした意識の中で同期の男性に肩を支えられていた。


ああ、頭がクラクラする……調子にのって、少し飲みすぎてしまった。


「千堂さん、大丈夫? 家まで送ろうか」


男性の言葉に口を開きかけたそのとき、冷たい声が耳元に響いた。


「彼女は、私が送ります」


その声は、瑛斗だった。彼の声には、静かな怒りが含まれているように聞こえた。


瑛斗は同期の男性から私を離すと、私の肩をしっかりと支える。


冷え切った手に触れられた瞬間、彼の体温がじわりと伝わってきた。


「あ、望月課長……お、お疲れ様です!」


同期の彼が慌てて頭を下げ、瑛斗は何も言わずに彼から私を遠ざけた。


「千堂さん、行きますよ」


私は瑛斗に支えられたまま、大通りに出る。


タクシーに乗り込むと、瑛斗は私の体を優しく引き寄せ、肩に寄りかからせる。


ああ、温かい……。


彼の体温が、酔いで冷えた体を温めてくれた。


少しして同棲するマンションに着くと、エレベーターを降りた瞬間から、慣れ親しんだ安心感が私を包んだ。


瑛斗は慣れた手つきで鍵を開け、私を抱え上げるようにして部屋の中へ入ると、そのまま寝室まで連れていき、ベッドに寝かせた。


「莉子、起きて」