「莉子、あのとき俺に声をかけてくれたよな。本当は、毎日君に会うのが楽しみで、君が声をかけてくれるのを、ずっと待っていたんだ」
瑛斗の口から語られる真実に、私の心が温かくなる。
「莉子はいつも真面目に本を読んでいて、俺が困っていると放っておけない優しい子だって、知っていたよ。君が、俺のために専門書を探してくれたとき、俺は君に惹かれたんだ」
瑛斗の声は、昔を懐かしむように、優しさに満ちていた。
瑛斗は、高校時代から私のことをずっと見守ってくれていた。
私は瑛斗に惹かれて、必死に彼の背中を追いかけていたけれど、彼も私と同じ気持ちだったなんて。
「だから、もう二度と君を隠したりしない。莉子の努力が、誰かの嫉妬や、俺との関係のせいで不当に扱われるのは、もう嫌なんだ。俺の隣にいてくれるだけでいい。結婚しよう」
瑛斗の瞳には、六年間の秘めた想いと、公になった関係の中でこれから二人で歩んでいく未来への決意が宿っている。
「……はい」
私は、目に涙をためながら、笑顔で頷いた。



