鬼課長は、ひみつの婚約者



そしてついに迎えた、教育実習の最終日。


私は瑛斗に会うために、図書室へ向かった。彼はもういないと思っていたのに、そこには彼の姿があった。


放課後の図書室には、私たち二人以外誰もいない。


静まり返った空間に、張り詰めたような緊張感が漂っていた。


「先生……二週間、お疲れ様でした」


私が精一杯の笑顔で声をかけると、彼は少し寂しそうな顔をして言った。


「俺は、明日から千堂さんに会えなくなるのが、すごく寂しい」


真っ直ぐな彼の言葉に、私は胸が震えた。彼も、私と同じ気持ちだったんだ。


「千堂さん。俺……学校でいつも君のこと、探してたんだ。もし良ければ、俺と付き合ってくれないか?」


彼の言葉に、私は嬉しくて、涙が止まらなかった。


「……っ、はい」


瑛斗からの告白を二つ返事で快諾し、私たちはその日から付き合い始めた。


それから五年の遠距離恋愛を経て、お互い東京に就職し、同棲して婚約に至った。


遠距離恋愛中、電話越しに聞く彼の声は、いつも私を安心させてくれた。


「莉子、早く会いたいな」

「私も。もう少ししたら会えるから、頑張ろうね」


私たちは、そう言って寂しさを乗り越えてきた。その遠距離恋愛の時間が、私たちの絆をより深く、強いものにしてくれたのだ。


そんな過去の思い出に浸っていると、瑛斗の声が耳に届いた。