鬼課長は、ひみつの婚約者



そんなある日。難しそうな専門書を真剣な表情で探している彼に、私は思い切って声をかけた。


「あの……望月先生、何かお探しですか? 良かったら、私も手伝います」


彼は驚いたように、少し目を見開いたけれど。


「ありがとう」と、微笑んでくれた。


それから、彼は図書室に私が来るのを、待っていてくれるようになった。


「千堂さんは、いつもここで勉強してるのか?」

「将来の夢は?」


他愛のない話をするうちに、私は彼に惹かれていった。


瑛斗が私を見つめる視線が、他の生徒とは違うことを、私はなんとなく感じていた。


彼は教育実習生とはいえ、私たちは先生と生徒。だから、彼を好きな気持ちは、心の奥に閉じ込めておこう。


そう思いながら、実習期間の二週間はあっという間に過ぎていった。