「ああ。君の、クライアントの信頼を得る力は素晴らしい。それに、佐伯くんから、君がチームをまとめるのがうまいと聞いてね」
佐伯さん……。
「はい、頑張ります」
せっかくの機会だからと、そう返事したものの、私にリーダーなんて務まるのだろうか。
戸惑いと不安で、胸がざわつく。
瑛斗のような完璧なリーダーシップは、私には到底無理だと思ったからだ。
どうすればいいのか分からない。
その日の終業後。私は意を決して、佐伯さんのもとを訪れた。
「佐伯さん、少しお話いいですか？」
「うん、いいよ」
佐伯さんは、いつも通りの穏やかな笑顔で頷いてくれた。
