私たちは、オフィスから少し離れたカフェへ向かった。
案内された窓際の席に座ると、周りには誰も私たちのことを知っている人はいなかった。
私は、深く息を吐き出す。
瑛斗は、何も言わずにカップを差し出してくれた。その湯気から、紅茶の優しい香りが漂う。
「莉子、顔色が悪いぞ。何かあったのか?」
彼の優しい声に、私は言葉を詰まらせる。やっぱり、瑛斗には何でもお見通しなんだな。
「……私、瑛斗と釣り合っていないんじゃないかって……。周りの目が怖くて、どうしたらいいか分からなくて」
私は、ずっと心の中に抱えていた不安を、瑛斗に打ち明けた。
「そんなことはない。莉子は、誰にも真似できない強さを持っている」
瑛斗は私の手を握りしめ、真っ直ぐ私の目を見つめながら、穏やかな口調で続ける。
「君は、あの致命的なミスを自分の力で解決した。その努力を俺は知っている。だから、誰かに何を言われても、俺の気持ちは変わらない。俺は、君がそばにいてくれればいいんだ」
瑛斗の言葉が、私の心に深く響く。
そうだった。私は、彼の揺るぎない愛に支えられている。会社の冷たい視線なんて、どうってことない。
「ありがとう、瑛斗」
私は、彼の温かい手に、そっと自分の手を重ねた。



