鬼課長は、ひみつの婚約者



私は、顔を上げることができない。


「宮内さん、その言葉は聞き捨てなりません」


凛とした声が響き、真由の言葉を遮る。


それは、瑛斗の声だった。


彼は、私を突き放すときに見せる冷たい表情とは全く違う、怒りと決意が入り混じった、峻厳な表情をしていた。


「望月課長……」

「千堂さん」


瑛斗は、周りの視線を一切気にすることなく、まっすぐ私に向かって歩いてきた。そして、そっと私の手首を掴む。


その手は力強く、私の震えを一瞬で止めてくれた。


そして、彼は私の手を取ったまま、会場の真ん中で、まるで宣誓するかのように、堂々と言い放った。


「彼女は、今回の件で責任感を持って行動していました。このミスは、私が最終確認を怠った、私自身の監督不行き届きです。すべての責任は、この私が負います」


瑛斗……。


「それから……」