私だって、会社では『千堂さん』としか呼ばれず、突き放されるような態度をとられているのに……真由は、どうしてあそこまで積極的になれるんだろう。
「はぁ、課長ってほんと素っ気ないですね」
しばらくすると、真由は諦めたように席を立ち、別の同僚たちの輪に加わった。
彼女の顔には、不満と苛立ちの色がはっきりと浮かんでいた。
自分だけが、瑛斗に認められていない。そんな焦燥感が、彼女を突き動かしているようだった。
「千堂さん!」
そのとき、隣にいる佐伯さんが声をかけてくれた。
「千堂さん。今回のプロジェクト、君の力なしでは成功しなかったよ。特に、あの企画書の件、本当に頑張ったね」
佐伯さんが、優しく微笑んでくれる。
「あのときの千堂さんの頑張り、俺、ちゃんと見ていたよ。君があれだけ努力していたんだ、望月課長もきっと認めてくれるはずだよ」
佐伯さんの言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。第三者から努力を評価されるのは、やはり嬉しかった。
「ありがとうございます。佐伯さんにも、たくさん助けていただきました」
私が笑顔でそう返すと、向かいに座っていた真由が、酔った勢いで口を挟んできた。



