「実は……以前、俺が担当していたプロジェクトに、君と同じくらい優秀な女性社員がいた。彼女は、寝る間も惜しんで努力する、本当に素晴らしい女性だった。でも、彼女が俺と親しいというだけで、周囲から嫉妬や嫌がらせを受け、不当な評価に苦しんだ末に退職してしまったんだ」
瑛斗の言葉に、私は息をのんだ。彼が過去にそんな辛い経験をしていたなんて。
私の心に芽生えたくだらない嫉妬心は、一瞬で恥ずかしいほどの後悔に変わった。
「そのとき、俺は何もしてやれなかった。彼女を守ってやれなかった。だから、君が寝る間も惜しんで努力してきたことを、俺との関係のせいで『コネ』だとか『贔屓』だとか言われるのは、絶対に嫌だった」
彼の声には、後悔と、そして私を守ろうとする強い意志がにじみ出ていた。瑛斗の深い愛に、私の心は温かい光で満たされていく。
「俺は、莉子がみんなから正当に評価される姿を見たかったんだ。だから……」
瑛斗は、厳しく突き放すことで私を自立させ、誰もが納得する実力をつけさせようとした真意を打ち明けてくれた。
瑛斗の愛の深さに気づいた私は、彼の胸で安堵と感謝の涙を流す。
まさか瑛斗が、そこまで私のキャリアを真剣に考えてくれていたなんて、知らなかった。
「……瑛斗、ごめんね。私、何も知らなくて」
「いいんだ。莉子が頑張ってくれたから。もう、大丈夫だ」
瑛斗の言葉は、私の心を縛り付けていた鎖を解き放ってくれた。



