大嫌い!って100回言ったら、死ぬほど好きに変わりそうな気持ちに気付いてよ…。

 結婚式当日。



 柔らかな陽射しが、チャペルのステンドグラスを照らしていた。



 純白のドレスに身を包んだ朱里は、少し緊張した表情で立っている。



 「大丈夫?」



 控室で声を掛けたのは美鈴だった。



 「……手が震えてます」



 「結婚式なんだから当たり前」



 美鈴は笑って朱里のベールを整える。



 「でもね」



 「昔のあんたなら、『大嫌い』って言って逃げてたわよ」



 朱里は吹き出した。



 「言ってたかも」



 「今日は?」



 朱里はゆっくり首を振る。



 「もう言いません」



 チャペルの扉が開く。



 祭壇の前には、少し緊張した嵩が待っていた。



 目が合う。



 それだけで、お互いに笑ってしまう。



 式は穏やかに進んだ。



 指輪を交換し、誓いの言葉を交わす。



 拍手が響く。



 披露宴では、美鈴が友人代表としてマイクを握った。



 「朱里は、本当に素直じゃありませんでした」



 会場が笑う。



 「『大嫌い』って何度も言うくせに、一番好きだったんですよね」



 さらに笑いが広がる。



 朱里は顔を真っ赤にして俯いた。



 嵩は隣で肩を震わせて笑っている。



 「でも、最後にはちゃんと自分の言葉で伝えました」



 「だから今日があります」



 温かな拍手が会場を包んだ。



 披露宴も終わりに近づいたころ。



 司会者から「新郎新婦から一言」と促される。



 朱里はマイクを持ち、少しだけ嵩を見る。



 そして照れ笑いを浮かべた。



 「私……昔は『大嫌い』しか言えませんでした」



 会場から優しい笑いが起こる。



 「でも今日だけは、ちゃんと言います」



 朱里は嵩の目を見つめる。



 「嵩さん」



 「大好きです」



 一瞬静まり返った会場が、大きな拍手に包まれた。



 嵩は少し照れながら答える。



 「それ、一回じゃ足りないな」



 朱里は笑った。



 「じゃあ、これから百回言います」



 百回言った「大嫌い」は、もう過去の思い出。



 これからの二人は、その何倍もの「好き」を重ねながら歩いていく。



 そうして、不器用な恋から始まった二人の物語は、たくさんの祝福に包まれながら、新しい人生の第一歩を踏み出した。