『フフッ。本当に××は歌うことが好きね」

女性が笑みを浮かべて言う。リズは目を輝かせ、『好き!お母さんのピアノも、歌も、音楽が全部好き!』と大きな声で言う。母親がリズを優しく抱き締める。リズは声を上げて笑った。その時である。

『リリー、××、お茶にしようか』

金髪の男性が声をかけた。彼の手には紙の束があり、空中には紅茶の入ったティーポットとカップ、そしてココアの入ったマグカップとプリンの入った皿が浮いていた。

『わぁ!プリン!』

リズは目を輝かせ、椅子に座る。父親と母親はその様子を見て顔を見合わせ、笑い合いながら椅子に座った。リズはプリンを口に運ぶ。甘いプリンが口の中でとろけた瞬間、リズの顔には満面の笑みがあった。

『おいしい……!』

プリンを食べるリズを父親は撫でる。母親が紅茶を一口飲んだ後、『セドリック、せっかくの仕事休みなのにお茶の準備をしてもらってごめんなさい。いつも仕事が忙しいのに……』と申し訳なさそうに言う。俯く母親の手を、父親は優しく取った。