手を握ってくれたあなたともう一度

「よかったよかった」

そう言いながら優しくリアラの頭を撫でる。
急なことに驚いたリアラだったが嫌な感じはなくむしろ嬉しいとさえ感じていた。

しばらく頭を撫でているとドアをノックする音が聞こえた。

「ゼスだ」

「はーい」

短いやり取りのあとに開かれたドア。
リアラはゆっくりと部屋に入ってきた人を見た。

「お兄ちゃん、お疲れ様」

「あぁ。ラースもありがとな」

「いいえ」と言いながらラースはリアラの頭から手をそっと離す。

「食事中にすまない。サザネから目が覚めたと聞いてな」

食べていた手を止め、リアラはペコっと頭を下げる。

「食事は続けてていい、ラースからすでに聞いているかもしれないが俺はゼスという。
ここの村の村長で魔法団の団長でもある」

「魔法団・・・？」

咄嗟に出た言葉だったのだろう。
リアラはハッとして口元に手をあてた。

「大丈夫だ。気にしなくていい。
魔法団というのはその名の通り、魔法が使えるものが集まった団体だ。
この村では魔法が使えるものが俺を含めて５人いる」