第十章 隠された想い
学園祭が終わった翌日。
校舎の裏庭に呼び出された美鈴は、少し緊張した面持ちで立っていた。
そこに現れたのは蓮。冷たい瞳をしているようで、その奥にどこか迷いを宿している。
「……俺の態度で、おまえを傷つけていたなら謝る」
予想外の言葉に、美鈴は目を瞬かせた。
蓮が自ら謝罪するなど、初めてのことだった。
「わたし……蓮さまが冷たいのは、きっと私のことを嫌っているからだと……」
小さな声に、蓮は眉を寄せる。
「嫌ってなどいない。むしろ逆だ」
「……え?」
「俺はおまえを大切に思っている。だからこそ……距離を取っていた」
その声は低く震えていた。
美鈴は息を呑み、じっと彼を見つめる。
「白川と一条の婚約は、政略のための鎖だ。おまえが“許婚”という立場に縛られることを、俺は望んでいなかった。
俺に近づけば近づくほど、おまえは余計な視線や噂に晒される。……だから、突き放すしかなかった」
冷たい態度の裏に、そんな想いが隠されていたなんて――。
胸の奥に痛みが広がり、同時に温かさが込み上げる。
「蓮さま……本当は、私のこと……」
「……好きだ」
はっきりとした言葉が、空気を震わせた。
蓮は視線を逸らさず、まっすぐに美鈴を見つめていた。
「誰にも渡したくない。俺のものにしたい――それが本音だ」
美鈴の胸は大きく揺れ、頬が熱く染まった。
彼の冷徹な仮面の下に隠されていた、不器用で真っ直ぐな愛。
それを知ってしまった今、もう以前のように「冷たい許婚」とは思えなかった。
しかし同時に――
夕暮れの屋上で告白してくれた悠真の言葉も、まだ心に強く残っている。
「……わたし……どうすれば……」
美鈴は涙をこらえながら、震える声で呟いた。
彼女の運命を決める選択の時が、刻一刻と近づいていた。
学園祭が終わった翌日。
校舎の裏庭に呼び出された美鈴は、少し緊張した面持ちで立っていた。
そこに現れたのは蓮。冷たい瞳をしているようで、その奥にどこか迷いを宿している。
「……俺の態度で、おまえを傷つけていたなら謝る」
予想外の言葉に、美鈴は目を瞬かせた。
蓮が自ら謝罪するなど、初めてのことだった。
「わたし……蓮さまが冷たいのは、きっと私のことを嫌っているからだと……」
小さな声に、蓮は眉を寄せる。
「嫌ってなどいない。むしろ逆だ」
「……え?」
「俺はおまえを大切に思っている。だからこそ……距離を取っていた」
その声は低く震えていた。
美鈴は息を呑み、じっと彼を見つめる。
「白川と一条の婚約は、政略のための鎖だ。おまえが“許婚”という立場に縛られることを、俺は望んでいなかった。
俺に近づけば近づくほど、おまえは余計な視線や噂に晒される。……だから、突き放すしかなかった」
冷たい態度の裏に、そんな想いが隠されていたなんて――。
胸の奥に痛みが広がり、同時に温かさが込み上げる。
「蓮さま……本当は、私のこと……」
「……好きだ」
はっきりとした言葉が、空気を震わせた。
蓮は視線を逸らさず、まっすぐに美鈴を見つめていた。
「誰にも渡したくない。俺のものにしたい――それが本音だ」
美鈴の胸は大きく揺れ、頬が熱く染まった。
彼の冷徹な仮面の下に隠されていた、不器用で真っ直ぐな愛。
それを知ってしまった今、もう以前のように「冷たい許婚」とは思えなかった。
しかし同時に――
夕暮れの屋上で告白してくれた悠真の言葉も、まだ心に強く残っている。
「……わたし……どうすれば……」
美鈴は涙をこらえながら、震える声で呟いた。
彼女の運命を決める選択の時が、刻一刻と近づいていた。

