指先の背伸びは恋心を秘めて

周くんとやって来たのは、三年生の校舎の裏。

大きな木が植っていて、園芸部の花壇もある。



「周くん、授業が……」

「ごめん、五時間目の授業の時間、オレにくれない?」



周くんの表情が、なんだか泣きそうに見えて、私は考えるより先に頷いていた。



二人で木陰に座った。



「岸村さん、玲奈ちゃんに嫌がらせしてたんだね」

「……」

「ごめん、そのあたりからしか聞いてないけれど、玲奈ちゃんさっき、ひどいこと言われたりしてない?」

「大丈夫です」

「……オレのせいだね」



周くんがため息を吐いて、宙を仰ぐ。



「周くんのこと、守ろうと思ったんですけれど、逆に守られちゃいましたね」

「そんなの、当たり前だよ。オレだって守りたいよ。玲奈ちゃんのこと」

「……」



二人とも黙った。

五時間目が始まる本鈴が聞こえる。



(岸村さんから守る必要がもうないなら、私……、偽彼女としての役割は終わったってことか……)