全然お似合いじゃない。

何と?

誰と?



少し考えて、私は思い至った。



(あぁ、谷原先輩と『お似合いじゃない』ってことか)



もしかして、あの告白していた女子が私に嫌がらせをしている?

あの子、何年の誰なんだろう?

確か先輩が名前を呼んでいたような……。



(ダメだ、思い出せない)



それにあの子と決まったわけでもない。



(決めつけは良くない)



だけど、そう考えると辻褄が合う。

片想いをしている王子様に、いきなり現れた恋人の存在。



(それは面白くない展開だよね)



だからってこんなこと許されない。



私はノートを鞄にしまって、決意をした。





週末を挟んで迎えた月曜日。

昼休みに谷原先輩に会って、話がしたいと思った。

県立N高校は、学年ごとに教室のある校舎が分かれている。

先輩が三年何組なのかわからなかったから、三年の校舎までやって来た。



「誰、あの子」

「知らなーい」

「誰かに用事かな?」



他学年の校舎に行くと目立ってしまう。