イタリア人さんの大きな声が聞こえた直後、パァンと銃声が空気を切りさく。

 ピストルを構えていたお兄さんは、腕まくりをしたYシャツの肩から下げているショルダーバッグに、くるりとまわしたピストルをしまった。

 イタリア人さんの声は…もう、聞こえない。


 殺し屋、ジョット。そう呼ばれていたお兄さんは、私に顔を向けて、コツコツとこっちに近づいてくる。

 わ…私も、殺される…!?

 緊張(きんちょう)で体がこわばるのを感じながら、ギュッと目をつぶると、足音は私の横を通りすぎていった。


 あれ…?と思ったとき、背後からお兄さんに声をかけられる。




《…ここで見たことは、誰にも言うな》